関西学院大学理工学部だより


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■理工学部生命医化学科 佐藤研究室 2019.5.1

◆教員
佐藤 英俊(さとう ひでとし),教授,博士(理学)
竹谷 皓規(たけたに あきのり),助教,博士(理学)
アンドリアナ B. ビビン,助教,博士(獣医学)

◆研究内容
佐藤研究室は,光を用いた新しい装置と分析技術の開発を通して,生物学と医学に貢献することを目指しています。学生達は生物学だけで無く,分析技術の開発に携わります。レーザー光源から分光システムまでのハードウェアについて,実物に触れて学び経験する他,多変量解析,ソフトウェア等についても学びます。研究対象は細胞や動物だけで無く,食品や健康などの分野にわたります。 では,最近行っている研究テーマをいくつかを見てみます。

1.ヒト感染性ウイルスの迅速検出
 エボラウイルス,新型インフルエンザ,デングウイルスなど,近年危険なウイルスが世界中で話題になっています。ウイルスは宿主を厳密に選ぶため,他の動物を用いてヒト感染性ウイルスを検出することはできません。誰かが感染しないと検出できないのです。我々はヒトの培養細胞を用いてウイルスを検出する技術を開発しています。しかし,細胞は熱も出しませんし咳もしません。どうするかと言うと,生きた細胞に顕微鏡下でレーザー光を当て,出てくるラマン散乱光を観察します。ラマン散乱光は分子組成を反映するため,細胞の分子に変化が出ると検出できます。最高でウイルス感染の3時間後に検出することに成功しました。これから,ウイルスの種類の同定技術や実用化を目指した研究を行っていきます。

2.生きた神経細胞の機能と分子組成の研究
 神経細胞を長期間培養すると,シャーレ内の細胞が相互的に関連したネットワークを作ります。神経細胞は細胞分裂によって増えることはありませんが,電気信号の同期など機能を獲得して成長します。神経細胞の成長を光によって,生きたまま解析する分析モデルを開発しました。地球上では今,内分泌攪乱物質(環境ホルモン)が問題となっており,一部の化合物は子供の脳の成長に影響を与えると考えられています。化合物の毒性はマウスなどの動物を用いて研究されていますが,動物は話せないため,発達異常などを見つけることは困難です。我々は,様々な化合物が子供の脳に及ぼす影響を高感度に検出し,問題を未然に防止する技術へと発展させていくことを目指しています。

3.がんの術中診断技術の研究
 腫瘍の中で転移する能力を持ったものをがん(悪性腫瘍)と呼びます。がんの切除において最も大きな問題は,正常細胞の中に紛れ込んだがん細胞を見つけ出すことです。例えば脳腫瘍の手術の時,安全のためがん組織の周囲を大きく切り取るとがんの再発を抑えられますが,脳機能を失うリスクが高まります。しかし,病巣を開いたまま長い時間をかけて検査することはできません。そこで,光を用いてがん細胞を短時間で見つけ出す技術の開発を目指しています。我々はラマンイメージングという技術を元にして,分子組成によってがん細胞を見つけ出すようなソフトウェア開発を行っています。また,2波長発振の新しいパルスレーザーを開発し,従来10時間かかっていたラマンイメージング測定時間を5分以内に短縮する技術開発を行っています。

これらの他にも,体内の脂肪蓄積を無侵襲的に分析する技術,幹細胞の分化制御技術,食品品質の検出技術など,様々な研究を行っています。  佐藤研究室では現在,7名の4年生,5名の修士学生が研究を行っています。修士学生のうち2名は留学生です。ゼミは全て日本語と英語の両方で用いて行っており,卒業時には日本人学生も英語でのプレゼンテーションができるように成長していきます。 8月6から10日には教授の佐藤が中心となり,医用分光学研究会(日本)の協賛を受けて,CLIRSPECサマースクールを開催いたします。CLIRSPECは欧州を中心とした医用分光学の国際会議で,この度初めて,サマースクールを東アジアで開催することとなりました。是非とも皆様のご参加をお待ちしております。

CLIRSPECサマースクール

<佐藤教授の紹介ページ>
<佐藤研の紹介ページ>